ローカルLLMの翻訳性能比較:gpt-oss-120b、Gemma 4、Qwenシリーズを試して見えたモデル選定
日常的に利用するローカルLLMにおいて、「翻訳の自然さ」と「レスポンス速度」のバランスは常に悩ましい問題です。
以前は gpt-oss-120b をメインに利用しており、こなれた表現や日本語としての自然さに満足していました。しかし、モデルサイズの大きさゆえに取り回し(プロンプトを渡すまでの準備やリソース消費)にやや手間がかかるため、最近は手軽に動かせる gemma-4-26b-a4b を日常使いにシフトしていました。
改めて過去の訳文を見返したことをきっかけに、各モデルの翻訳精度と「推論(Thinking)モード」の挙動を比較・検証してみました。
きっかけ
普段使いの gemma-4-26b-a4b を「Thinking Off」で運用していたところ、出力がやや直訳調になり、日本語としての通りが悪く感じることが増えていました。一方、Thinkingをオンにすると品質は上がるものの待ち時間が延びてしまいます。
ふと、過去に gpt-oss-120b で翻訳した文章を読み直してみたところ、gemma-4-26b-a4b(Thinking Off)に比べて日本語の表現力・こなれ感が圧倒的に高いことに改めて驚かされました。「日常の気軽さを優先しすぎて、翻訳品質を妥協しすぎていないか?」と感じたことが、各モデルの比較を始めたきっかけです。
学んだこと
各モデルを比較してみて、以下の特徴と挙動の違いが分かりました。
- gpt-oss-120b:
- パラメータ数の大きさに見合う高い日本語表現力。訳がこなれており、自然な文章に仕上がる。運用の重さが唯一のネック。
- gemma-4-26b-a4b:
- Thinking Off: 直訳調になりがちで、日本語としてやや硬くわかりにくい。
- Thinking On: 訳文の質は向上するが、レスポンスに時間がかかる。
- qwen3.6-35b-a3b:
- 翻訳の自然さという点では、
gemma-4-26b-a4b(Thinking On)のほうが優れていた。
- 翻訳の自然さという点では、
- qwen3.8-flash-next:
- デフォルトの推論レベルが非常に高く(thinking: xhigh 相当)、長考する傾向がある。
- 実用上は thinking レベルを
lowに絞る調整が必要。 - ただし、
xhighの状態でじっくり考えさせた場合の訳文は、qwen3.6やgemma-4を明らかに上回るクオリティを見せた。
自分なりの理解
翻訳タスクにおけるモデル選びは、「モデル自体の基礎体力(パラメータ数)」と「推論ステップ(Thinking)」のどちらにリソースを割くかというトレードオフだと理解しました。
- 思考なしの小型モデル(~26B) は、構文をそのまま置き換える「直訳」になりやすい。
- 思考付き(Thinking On) にすることで文脈理解が深まり自然な意訳が可能になるが、速度が犠牲になる。
- qwen3.8-flash-next のような最新推論モデル は、デフォルトの思考設定が過剰になりがち。用途に合わせて
thinking: lowなどにチューニングして初めて「速度と質のバランス」が取れる。 - 結局のところ、推論なしで自然な訳を出せる
gpt-oss-120bのような大モデル は、取り回しさえ解決できれば依然として優秀。
実践へのつなげ方
用途に応じて、以下のようにモデルと推論設定を使い分ける運用にします。
- スピード重視の一次情報チェック(大量のドキュメント流し読み)
gemma-4-26b-a4b(Thinking Off)
- 公開用ドキュメント・精読用(品質最重視)
- 手間を許容して
gpt-oss-120bを立ち上げるか、qwen3.8-flash-nextで長考させて仕上げる。
- 手間を許容して
次に試すこと
長考傾向のあった qwen3.8-flash-next の推論パラメータ(Thinking budget / low設定)を細かく調整し、「gemma-4(Thinking On)と同等以上の訳質を、より短い待機時間で出せるスイートスポット」 を見つけるテストを行います。